骨董品としての火鉢
蔵や古い家などを整理した時に「骨董品と一緒に火鉢が出てきた」という話を耳にします。使ってみようと思う方、処分しようと思う方、さまざまだと思いますが、古い火鉢を発見した時の対応について少しご説明させていただきます。
状態の確認
長い間しまわれていた火鉢とは言え、そのほとんど場合は灰がしっかり入ったままの状態だと思います。灰も貴重なものですので、使うにしても売るにしても、まずはメンテナンスです。灰をふるいにかけてゴミやダマ取り除いて綺麗な状態にしてください。
また、灰が底の方で固まって石のようになっている事もあります。これは炭の熱によって硬化したもので、陶器を焼いて作るのと同じ原理です。相当硬いのでハンマーなどで砕いてください。最終的にふるいを通ったものは普通の灰として使っていただけます。 全ての灰を取り除いてから火鉢の底を確認してください。穴やヒビ、腐食などがある場合は、残念ながら火鉢として再び使う事はあきらめた方がいいと思います。木製火鉢の内側の銅版でしたら職人さんに修理してもらうことも可能ですが、新しく火鉢を買うのと同じくらいの修理代になることもありますので、インテリアとしてか鉢植えとしての再利用をお勧めします。
売り方
・底がきれいなら、灰は振るいにかけてからビニール袋で梱包してください。
・火鉢本体は蜜蝋(なければ乾拭き)で表面を磨いてください。見た目がぐっと良くなり骨董品としての価値が増します。
売る相手ですが、やはり骨董屋さんがベターだと思います。貴重かどうかの判断が素人にはなかなか難しいため、近場で無料で鑑定を行ってくれるお店を探すのがいいでしょう。もちろん何店舗か回って一番高いところで売ってください。最近はネット上で火鉢を含めて骨董品を査定してくれるサービスもあります。古美術商が運営しているサイトであれば依頼してみるのもいいかもしれません。ネットオークションという手もありますが、客観的な値段を決められない以上、適正価格での出品は難しいと思います。
売りに行く際には本体や灰以外の付属品も忘れないで持っていって下さい。(できる範囲の手入れをした上で)案外、そちらの方が高値になるかもしれません。
持ち込みと鑑定
できるだけ綺麗な状態して持ち込んでください。掃除のしすぎで破損する場合もありますので、そういう場合は無理に触ることはせず、元の状態のまま持ち込んでください。時期によって鑑定額が変わるわけではありませんので、不要と感じたタイミングで売るのがいいと思います。
残念ながら現在火鉢の需要はほぼありません。引き取ってもらえない場合もあります。
使い方
火鉢を含め、押入れから出てきた骨董品にに高値がつくことはそんなに多くはありません。
「ならばいっそ自分で使って見よう」と思った方は、こちらに火鉢の簡単な使い方と必要な道具をまとめましたのでご参考にして下さい。
当社では火鉢を使う上で欠かせない五徳や鉄瓶をはじめ各種道具も取り扱っていますので、こちらもご覧下さい。
おじいちゃん、おばあちゃんが昔使っていた火鉢を再び使い始めるというのは、そのご家庭の歴史を感じることでもあると思います。
火鉢は先人の知恵が詰まったエコな道具です。蔵や倉庫で火鉢を見つけられた場合は、ぜひ再利用についてご検討ください。
最近の住宅は気密性を重視されています。くれぐれも一酸化炭素中毒にはお気をつけてください。