火鉢と灰
初めて火鉢を使う時、灰の扱いに戸惑ってしまう方が多いと思います。
・灰の役割りって?
・灰なしで火鉢を使っても大丈夫?
・火鉢に使う灰は何がいいの?
・適量の灰とは?
・灰を捨てる時は?
灰に関する素朴な疑問について説明します。
灰の役割り
火鉢に使う灰の役割りは、炭を燃えやすくすることと炭の熱が直接火鉢に伝わるのを防ぐ断熱効果の二つです。安全面からも大事なのは断熱効果ですが、火鉢の破損や火の燃え移りを防ぐなど安全を考慮し、火鉢の中の灰の深さは15cm以上をお勧めします。
火のついた炭を灰の中に埋めればゆるやかに消火しますが、埋めてから短時間であれば、灰から炭を取り出すことで簡単に再着火することも可能です。
灰を入れずに火鉢に火のついた炭を入れることは絶対にしないでください。
灰のお手入れ
使い方にもよりますが、年に一度は灰のお手入れをしてください。お手入れといっても、灰をふるいにかけるだけの作業です。100円ショップで売っているふるいで充分ですが、目の細かいものを使ってください。
灰受用の容器を準備し、その上で火鉢からすくった灰をふるいにかけます。ゴミやダマなどが残りますが、ダマはつぶして灰に戻してください。頻繁にする必要はありませんので、シーズン終わりにお手入れをしてから片づけるようにしていただければと思います。
灰の種類
灰は大きく分けて木灰とセラミック灰の2種類があります。
それぞれの特徴をご説明します。
【木灰】
昔ながらのいわゆる普通の灰です。木や炭を焼くとできます。カリウムと石灰を含んでいるので肥料にもなり、ワラビやゼンマイなどのアク抜きにも使われます。
最大の特徴は、「固まりやすい」ことです。 底の方が固まっていることで五徳の脚が沈みにくく、固定しやすくなります。しかし、その性質ゆえに付着しやすいという欠点もあり、服や火箸、鉄瓶など触れたものに簡単にくっついてきます。後述のセラミック灰は固まりにくく付着しにくい、木灰と間逆の性質を持っており、この点については一長一短です。
また、燃え尽きた炭は木灰になるため、木灰は火鉢を使えば使うほど増えていきます。
実は木灰は、原材料の木の種類や灰になった後の処理方法の違いなどで細かく分類されています。茶道をたしなまれる方は、日頃から入念に灰の手入れをし、何年もかけて最高の状態に仕上げるそうです。 火鉢用の木灰の主な原材料は、くぬぎ、なら、かし、さくらなどがありますが、「くぬぎ」と「なら」が良品質な木灰として認められています。
【セラミック灰】
珪藻土(けいそうど)を1000℃程の高温で熱成することでセラミック化させた疑似灰です。
木灰の項目でもふれましたが、サラサラとしているので服などに付きにくいという性質があります。その反面、固まらないので、五徳を置くと沈み込み、串を差して立てることができないなどのデメリットがあります。舞いにくいのもメリットと言えますが、炭が燃えて出来る木灰が舞うことは防げません。
木灰に比べて非常に安価ですので補充しやすいのも利点で、飲食店や旅館など大量の灰を使う施設での使用に向いています。
【その他】
「砂を灰の代わりに入れたらどうか?」という質問がありました。灰に比べて砂は保温性が低く、炭火が長持ちしません。そもそも灰より重いので、火鉢などの持ち運びがしにくくなります。予算的な理由などで何とか使いたいという場合は、下半分(底の方)が砂で、上半分を木灰かセラミック灰を入れて使って下さい。
他にも藁灰(わらばい=ワラが燃えてできる灰)というのもあります。しかし、五徳が沈みやすく灰も舞いやすいというデメリットが多く、残念ながら火鉢用には適していません。
【結論】
木灰かセラミック灰のどちらかを使っていただければいいかと思います。どちらも保温性に優れ、炭の熱を火鉢に移さない断熱効果もるので、火鉢との相性はバッチリです。
適量の灰とは
火鉢の形で異なります。
灰の量の大まかな目安は下記のとおりです。
【計算式】
〈四角い火鉢〉の場合 幅cm×奥行cm×高さcm÷2160=灰の適量kg
〈丸い火鉢〉の場合 幅cm×幅cm×高さcm÷6550=灰の適量kg
〈例〉 幅30cm奥行き30cm高さ15cm の四角い火鉢の場
30cm×30cm×15cm÷2160=6.25kg
※上記〈例〉の場合、6kg強の灰が必要となります。
火鉢の形や種類によっても変わってきますのであくまでも目安としてお使いください。
灰の捨て方
木灰は燃えるゴミ、セラミック灰は燃えないゴミとして廃棄して下さい。
ちなみに新品で買った木灰ならば庭や畑などに撒いていただいても結構です。
いい肥料になります。